第1回 ラオ族・中高地ラオ族
菅沼浩行
1998年9月から2002年6月まで、SVA(シャンティ国際ボランティア会) のラオス・ヴィエンチャン事務所で、「民話による初頭教育支援事業」というめっちゃ長い事業を担当。
————————————————————–
ラオス……というと、ほとんどの人はイメージのわかないインパクトの薄い国ですが、中国、ベトナム、カンボジア、ビルマ(ミャンマー)、タイに囲まれた東南アジア唯一の内陸国です。
そのような地形のためか、居住地の高低によって、ラオスの国民は低地ラオ(いわゆる主要民族のラオ族)、中高地ラオ、高地ラオ(モン族など)と大きく3つに分かれ、それを細かく民族別 に分けると公式には47民族(1999年)ですが、さらに細分化すると230民族くらいに分けられるようです。
そんな中、私は首都のヴィエンチャンから南に900kmほど離れたセコン県というところで少数民族の文化を元にした教材制作の仕事に関わっていました。
このセコン県には中高地ラオ俗が9割を占め、ラオ族とは違った形で生活しています。例えば、ラオ族が仏教信仰に対して、セコンの少数民族は精霊信仰、お祭りや治癒の儀式の際には水牛などを生贄とします。農業に関しても低地に住むラオ族は水稲農業を行いますが、標高の高い地域に住む彼らは焼畑農業を行います。
また、ラオ族の女性は「シン」という腰巻きスカートを履きますが、セコン県の奥深い地域にいる女性は胸まで巻きスカートを上げて着ており(しかし、胸をはだけたばーちゃんをよく見かけました)、織り方もラオ族が使う機織り機ではなく、数本の竹の棒を使用します。
そして、酒文化に関してもラオ族が度数40度くらいある蒸留酒(ラオラオ)に対して、彼らは発酵酒(ラオハイ)を飲みます。これは仕事が終わった後(仕事中もよくありましたが……)、「まあ、飲めや」と言うことで飲まされましたが、ある人曰く「ラオラオに比べてきつくなく、ワインみたい(?)な味」とのことですが、山深い地域、日本のような水道があるわけもなく、煮沸していない雨水か川の水を麹の入った甕の中に注ぎます。
まあ、一種の文化だし、甕の中で発酵するからいいかぁ……ということで、細い竹などのストローで飲み、よく腹を壊した日々が懐かしいです。