第5回 タリアン族 (その2) - 雑貨店Noichi(ノイチ)の運営 | 有限会社溝上企画

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第5回 タリアン族 (その2)

菅沼浩行
1998年9月から2002年6月まで、SVA(シャンティ国際ボランティア会) のラオス・ヴィエンチャン事務所で、「民話による初頭教育支援事業」というめっちゃ長い事業を担当。

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で、覚えていらっしゃいますでしょうか……続きだ。生贄だ。俺は見たぞ。

このときは、元々、本業(?)は小学校の巡回指導なんで、アポなし学校訪問をした際、学校休校(当たり前だが、事前にアポをすると、学校側は開校をし、良い格好をする場合が多い)。「なんで休んでいるんだ!」と先生に尋ねると、「明日は近所が家を作るんで、そのための儀式の準備です。」……とよく分からんが、面白そうなものが見れそうなんで、その場は許す。

そんでもって、次の日。朝6時からと言われたんで、場所も遠いもんだから、5時ごろから起きて準備していたが、始まったのは8時頃……まあ、許す。

では、ナマ生贄実況。

まず、水牛が繋がれている支柱の周りを松明を持ったおっちゃんたちが回る。そして、外側にいた人に対して、その松明で暖まるように外に置かれる。次に銅鑼などで音楽を奏でた後、酒とキャッサバを混ぜた白いものが入った器が出てきて、周りの人たちが舐めたのだが、これは地元の人に聞いてもよく分からんかった。

で、その後、祈祷師らしいおばちゃんが水牛が繋がれている支柱のところまでやって来た。ここで、なんやら大勢の人がおばちゃんのところに来て、何かを祈願しているようだが、おばちゃんはその人たちに対して、最初は小さく叩くように、それから、頭の上で大きく追い払うように葉の付いた枝を振り、その後、薬の入った水を口に含んで吹きかけ、葉の付いていない逆の方でその人の頭を刺すようして、最後に米粒を与えていた。俺が見る限りでは、体の中から、悪いものを叩いて出して、それを大きく払うようなもの感じで、先程の銅鑼も同じだと思うのだが、清めの儀式みたいなものか。

それから、槍を持った2人の若いにーちゃんと子どもたちがまた先程の酒とキャッサバの入った白いものを舐めた後、また音楽が奏でられ、2人の男が槍で水牛を刺す。水牛は逃げれず、支柱の周りをぐるぐる回るだけ。まあ、一刺しで即死するパターンもあるのだが、ともかく、「あしたのジョー」の如く「刺すべし、刺すべし」である。

で、結局は刺し殺されてしまうのだが、槍は刺したままにして、数名の女性、子どもがそれを掴む。このときに、水牛の顔に織物を被せるのだが、これは霊に対して、より一層の財産を求める意味があるとのことであった。それから、その場所で丸めたお米のおだんごみたいなお菓子が投げられるのだが、それらは地面に落ちるので、土まみれ。でも、子どもたちが一心不乱に拾って食う。

最後に水牛を繋いでいた縄を切り、お願い事をして、支柱に飾られていた装飾品の隙間に投げ、うまく通り抜けると願い事が叶うそうである。

いやー、凄い、凄い。これこそ、民族文化だ……と私、大感激してしまいました。こんな面白い事業、某NGOはまだやっているのであろうか……。

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